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近年、お口の健康が全身の健康へと大きな影響を与えることがわかってきました。
今回は、お口の健康の重要性についてわかってきたことと、そのトレーニング方法について紹介していきます。
ぜひ、最後まで読んで、ご自身の健康へと役立ててください。
歯から始まるお口の健康
お口の健康といえば、まず思い浮かぶのはむし歯や歯周病といった歯の健康についてでしょう。
厚生労働省や日本歯科医師会は、28本のうち、少なくとも20本以上自分の歯があれば、栄養の偏りもなく、ほとんどの食物をしっかり噛めておいしく食べられるという理由から、【8020運動】として、80歳でも20本以上のご自身の歯を保ちましょうという活動をしています。
ご自身の歯を20本以上維持することの重要性は多くの研究により報告されています。高齢者施設において6年間、歯の本数と健康の関係を調査したところ、ご自身の歯が20本以上ある人と歯が19本以下で、さらに義歯も使用していない人を比較すると、6年後に歩けなくなるリスクが10.3倍高いことがわかっています。さらに、認知機能が低下するリスクも3.1倍高くなることもわかっています。
このようにご自身の歯の本数は年を重ねたときの健康リスクにつながります。日ごろから歯みがき、フッ素入りの歯磨剤や洗口液の利用、定期的に歯科検診を受けるなど、オーラルケアを大事にしたいですね。
歯以外にも気を付けたい、お口の機能
一方、最近になって、歯の健康のほかにも噛む力や滑舌、お口のうるおいなどが重要であるとわかってきました。
以下の5つの質問に2つ以上当てはまる場合、オーラルフレイル(お口のささいな衰え)であるとされ、要介護状態になるリスクや、死亡リスクが高いことがわかっています。
お口の機能が低下すると、固いものが食べにくくなり、やわらかいものを選んで食べるようになります。
その結果、栄養のバランスが知らず知らずのうちに崩れてしまい、体の健康にも大きな影響を与えます。
食べる、飲み込むなど、お口の機能はお口の周りの筋肉でなりたっています。
高齢期においては、加齢に伴う筋肉の衰えに加え、人と会う機会、おしゃべりをする機会の減少など、お口を使う機会が減ることにより、さらにお口の周りの筋肉が衰えやすくなるとも考えられています。
体と一緒、お口の体操でお口を元気に
ここまで読んだ方の中にも、もしかすると私も…お口の機能が衰えてきたかも…と心当たりがある人や、今は大丈夫だけど…という方もいるでしょう。
お口の機能について、気になる方は、お口のトレーニングにチャレンジしてみませんか?
お口のトレーニングとして、最も手軽にできることはお口の体操です。
日本歯科医師会など、多くの団体、各地の自治体などからいろいろなお口の体操が紹介されています。
ぜひ、各自治体のWebページを探してみましょう。
私も監修したお口の体操(https://www.youtube.com/watch?v=s0vVtQrK6CE)を1日3回4週間行ってもらったところ、噛む力(咀嚼能力)や舌の力などが改善する結果も出ています。
お口の体操にはさまざまな種類があります。日々の生活の中で、ご自身が無理なく続けられそうなものを選び、取り入れてみてはいかがですか。
トレーニングとして、ガムを噛んでみよう
お口の体操のほかに、普段の食事の際によく噛むことを意識するなど、お口の周りの筋肉をよく動かすこともよい習慣です。
東京大学が行った研究において、1週間に30分以上ガムを噛む習慣がある高齢者は、ガムを噛む習慣のない高齢者と比較して、
- 噛む力や滑舌など、お口の機能が高い
- 握力、歩行速度など体の機能が高い
- 認知症テストの点数が高い
ということが報告されています。
このように、日常生活において噛み応えのある食品を習慣的に食べることにより、お口の機能が保たれる可能性があります。
お口の体操など、お口のトレーニングを習慣にするのは大変だと感じる方は、普段の食事や、ガムや硬めの食品をよく噛み、お口の周りの筋肉をよく動かすことを意識することもよいかもしれません。
噛むと起きるよいこと
しっかり噛むことはお口のトレーニングになること以外にも、いろいろな健康効果があることがわかっています。
例えば、噛むことによって、脳血流の増加や記憶力が改善することが明らかになっています。
実際に高齢者にガムを噛みながら記憶力テストを行うと、何も噛まずにテストを行った時と比較し、ガムを噛んだ方が正答率が高かったことが報告されています。
また、ガムを噛んでいると、口腔内の唾液量が増え、免疫物質であるIgAが多く分泌することがわかっています。
そのほかに、仕事中にガムを噛むことにより、ストレスが軽減する、
女性においては、ガムを噛むことにより、フェイスラインがすっきりするなど、「噛む」というお口の運動はお口のトレーニング以外にもさまざまな健康効果があることがわかっています。
いつでもどこでも簡単にできるお口のトレーニングとして、ぜひ日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
・お口の健康は歯の健康維持だけではなく、お口の機能を維持することも重要
・お口の機能の低下は全身の健康にさまざまな問題を引き起こす
・手軽に取り入れられる対策で、お口の機能の低下予防から始めよう
監修
水口俊介(みなくちしゅんすけ)先生
東京医科歯科大学名誉教授 噛むこと健康研究会理事
高齢者の噛むことによる咬合・咀嚼機能回復に関する研究など、健康長寿社会の実現に向けた研究を幅広く推進。「口腔機能低下症」の概念と診断基準をまとめ、口腔機能評価の保険導入を推進。(2024年4月現在)
【略歴】
1983年 東京医科歯科大学歯学部歯学科卒業
2005年 同大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野助教授
2008年 同大学大学院医歯学総合研究科全部床義歯補綴学分野教授
2013年 同大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野教授
2020年 日本老年歯科医学会理事長
2024年 東京医科歯科大学名誉教授
出典
※1 一般社団法人 日本老年医学会、一般社団法人 日本老年歯科医学会、一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会
※2 Kawamura J, Tanaka T, Kanno S, et al. Relationship between a gum-chewing routine and oral, physical, and cognitive functions of community-dwelling older adults: A Kashiwa cohort study. Geriatr Gerontol Int. 2024;24(1):68-74.
※3 松井美咲、菅野範、大澤謙二、小林弘幸.ガム咀嚼による唾液中S—IgA 分泌の影響―オープンランダム化クロスオーバー試験―.薬理と治療.2020, 48(12), 2161-66.
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2024年8月5日(月)10:30~ 2024年8月30日(金)23:59
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