暑さが厳しいときは冷房に頼りがちですが、実は効果的なのが「風」を利用すること。冷房と扇風機を上手に組み合わせて、心地よく、省エネモードで夏を乗り切るテクニックをご紹介します。
真夏日は冷房と扇風機の併用がマスト
気温が30度を越す「夏日」でも、風が吹くと涼しいと感じることがありますよね。そもそも私たちが暑さを感じるのは、体のまわりに熱と水蒸気を含んだ空気がまとわりつくためです。この暑い空気の層は風が吹くとこわれて、外気が直接、連続して体表面に触れます。そのため風が吹くと「涼しい」と感じるのです。
ただし、この効果があるのは、気温が体温よりも低い場合です。35度を超す「真夏日」の場合、人間の体温よりも周囲の気温の方が高いと、風が熱をうばう役割を失ってしまいます。そのため残念ながら、風が吹いても涼しいとは感じられなくなってしまいます。
また天気予報で表示される気温は、日差しが遮られた風通しのいい芝生の上という理想的な場所で測定された数値がもとになっています。
ですから熱のこもりやすい室内や、アスファルトの照り返しなどを考えると、私たちが実際にいる場所の温度は天気予報よりもずっと高い場合も少なくありません。
しかし、酷暑を乗り切るために一日中強めに冷房を効かせていると、体の芯に冷えがたまって体調を崩してしまうことも。
そこでぜひ試してほしいのが、エアコンと扇風機の併用です。扇風機は「風」で体の表面の熱を奪い、汗の蒸発も促すので、より自然な体温の下げ方に近づけられます。ゆるめに28℃設定の冷房、またはドライ設定と扇風機を同時に使ってみましょう。
際にもちょっとしたコツがあります。まずエアコンの風向きは水平に設定しましょう。そして扇風機はエアコンの風下に置いて、頭はエアコンと向かいあう方角で最大限上に向けます。
冷たい空気は下にさがる性質があります。エアコンの水平な送風口から出て少しずつ降りてきた冷気を扇風機でかき混ぜることで、部屋の空気が均一に。エアコンと扇風機の併用で気流が生まれると、冷気が全身に当たって体感温度も下がります。
設定温度を1℃上げると13%の消費電力節約効果があると言われています。「風」を利用することで、やわらかくて心地よい涼しさを感じながら、省エネにもなるお勧めテクです。
監修
岡田みはるさん
気象予報士
制作協力
からだにいいこと
創刊19周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。