杖を使うかどうか迷っている方に、杖を使うことで歩きやすくなるケースをご案内します。
帰り道に疲れるなら折りたたみの杖を
自分は杖を使ったほうがよいのか、使わなくても問題ないのか、判断できないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、こんな場合は杖を使ったほうが楽に歩けるというケースをご紹介していきます。
●帰り道に疲れてしまう
歩いて外出したとき、行きは問題ないけれど、帰り道の途中で疲れてしまって休憩が必要になるといった場合は、折りたたみの杖を携帯するのがおすすめです。
●パーキンソン病
パーキンソン病の方は、歩行中に自分の意に反して突進してしまう(突進様歩行)といった特徴があります。ゆっくり歩こうとしていても、足が勝手に前に進みすぎるため、つんのめって転びそうになることが。
こうした歩き方になる場合、杖を使うとブレーキをかけやすくなるので、突進が抑えられて歩きやすくなります。
●変形性膝関節症によるひざ痛
ひざ関節は、最も体重の影響を受けやすい関節の一つです。
歩くとき大きな負荷がかかるので、杖を使うとひざ関節を保護する効果が期待できます。両ひざのほかに、杖にも体重が分散されるため、杖なしで歩くよりも痛みが出にくくなるのです。
リハビリの現場でも、比較的痛みが軽い変形性膝関節症の初期〜中期の人の多くが、膝関節保護のために杖の使用をすすめられています。
●脳卒中後遺症で足を振り出しにくい
脳卒中による運動まひで、歩行時に足が振り出しにくい場合は、代償動作が必要になるケースがあります。代償動作とは、本来の歩行メカニズムによって足を前に出すのではなく、体を傾けたり、反動を利用したりして足を出すような動作です。
杖にはこの代償動作を助ける働きがあり、体を傾けての足を振り出しや、歩行がしやすくなりします。代償動作を楽に安全に行うために、杖の使用がおすすめです。
●脊椎圧迫骨折などによる円背
骨折などで骨が変形し、背中が曲がった状態での歩行になってしまう人は、杖を使って体が曲がるのを支えると、歩行が安定するようになります。また、歩くのが楽になるので歩行距離をのばすことにもつながります。
杖を使うことで歩きやすくなれば、自分の足で快適に移動できるようになります。車に頼りきりの生活からも解放されるため、CO2や有害物質の排出が削減され環境保護にも役立ちます。楽な歩行を実現するために、杖を効果的に使いましょう。
監修
西野英行先生
理学療法士
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』(翔泳社)