ひざの痛みを抱えている人の正しい歩き方は、健康な人が行う一般的なウォーキング法とは違います。その注意点をしっかり把握しておきましょう。
歩幅やスピードを気にせず毎日少しずつ歩く
ひざの痛みを抱えている人がウォーキングを行う際は、注意が必要です。
健康な人向けの、大股で早足で歩くなどのウォーキングフォームは、ひざ痛の人にはあてはまりません。逆に痛みを増す可能性もあります。
ひざの痛みに気を配りながら、歩幅やスピードを気にせず、痛くなくても歩ける方法で、毎日少しずつ歩くことが大切です。
まずは、1回20分、週3回くらいからはじめましょう。
1週間続けて痛みがなければ、少しずつ1回の時間を増やしていきます。ウォーキングの前後には、必ず軽いストレッチを各10〜15分ほど行い、筋肉をほぐしてから歩きましょう。
歩いているときは、下半身の筋肉が動いているのを意識しながら、ひざの痛みを感じない程度に、ゆっくりと自分のペースで行ってください。
〈ひざ痛の人がウォーキングをするときに心がけたいこと〉
・クッション性のいい、ウォーキング専用の靴をはきましょう。
・階段や坂道は避けて、平地を選んで歩きましょう。
・ウォーキングの前後に、必ずストレッチを行いましょう。
・ひざの痛みが強いときは、すぐにウォーキングをやめましょう。
なお、ウォーキングでひざが痛くなってきた人は、ウォーキングをお休みして、家の中で「つかまり足ぶみ」をしましょう。
〈「つかまり足ぶみ」のやり方〉
1)腰より低い高さ(高さ70cm程度)のテーブルなどに、少し前かがみになって両手をつける。その際、手の位置の真上に両肩がくるように手をつく
2)左右の足を、むりのない程度に上げて、その場で左右交互に足ぶみする
3)1歩ずつ数を数えて(左、右、で2歩)、100歩で1セット。朝・晩1セットから始めて、徐々にセット数を増やす
合計6セットまで、ひざが痛まずできるようになったら、今度は片手だけついて行いましょう。
これを痛みもなく1週間続けられたら、戸外のウォーキングに挑戦してください。
毎日ウォーキングを続けるうちに、歩ける距離も次第に長くなっていきます。そうなると、これまで車が中心だった生活も変わっていきます。歩く行動が増えることは、排気ガスに含まれるCO2排出量の削減にも役立ちます。
歩くときの注意点を守りながら、無理のないウォーキングを続けていきましょう。
監修
黒澤尚先生
江東病院理事長、順天堂大学医学部名誉教授
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
『図解 専門医が教える!ひざ痛の最新治療と予防法』(日東書院本社)