「変形性ひざ関節症」などでひざが痛く歩きにくいときは、ひざを冷やしたり温めたりすることで痛みが緩和され、歩くのが楽になります。効果的な温冷療法のやりかたを紹介しましょう。
急性期の痛みは冷やす
ひざが痛むときに、冷やすべきか、温めるべきか判断に迷われる方もいるでしょう。
「変形性ひざ関節症」の場合、基本的には、温めることが痛みの軽減になります。お風呂やシャワーで温めることは、ひざの血流を促して新陳代謝を活発にし、痛みを軽減するのに役立ちます。
ただし、症状が進んだ急性期には、ひざが熱を持ったり、腫れることがあります。また、慢性期でも、突然熱や腫れが現れることも。
こうした場合は、冷やして炎症を静めましょう。
なお、温めたり冷やしても痛みが引かない場合や、激しい痛みの場合は、医師に相談してください。
〈ひざを冷やす方法〉
・氷のう(氷と水を入れたポリ袋でも代用可能)や、アイスパックなどをひざにあてる
・タオルや薄い布を敷いた上から冷やす
・サポーターや包帯などで固定してもよい
・少しずつずらしながら、熱や腫れのある場所全体を冷やす
・冷やす時間は1回30分〜1時間ほど。ひざの熱や腫れがひくまでは、1日2〜3回を目安に行う
慢性の痛みは温める習慣をつけて
変形性ひざ関節症の痛み対策としてひざを温めるとき、家庭なら入浴して温めるのが一番いい方法です。活動を始める前の朝と、活動した後の夜の1日2回、入浴して温めるのがおすすめです。
また、蒸しタオルやホットパックなどでひざの周囲を温めるのも効果的です。温める時間に制限はなく、1日に何回温めても大丈夫です。
ただし、温熱グッスを使用する場合は、長時間使用による低温やけどに注意してください。
慢性的な痛みを抱えている人は、入浴を含め常にひざを温める習慣を身につけましょう。
〈ひざを温める方法〉
・お湯に浸してしぼったタオル、または電子レンジで温めた濡れタオルをひざにあてる
・タオルの上からラップでおおって保湿性を高める
・カイロ、ホットパック、温熱シートなどの温熱グッズを使ってもよい。肌に直接あたらないようにタオルや薄い布を当てた上から使う
ひざの痛みが和らげば歩きやすくなり、自分の足で快適に移動できるようになります。
これまで少しの距離でも車に乗っていた人も歩いて外出するように意識が変わり、CO2や有害物質の排出も削減されます。
変形性ひざ関節症で歩きにくさを感じている方は、温冷療法をぜひ試してみてください。
監修
黒澤尚先生
江東病院理事長、順天堂大学医学部名誉教授
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
『図解 専門医が教える!ひざ痛の最新治療と予防法』(日東書院本社)