1月7日は「⽖切りの⽇」ですが、普段、自分の爪をチェックしていますか?変色していたり、形が変わっていたりする場合、それは「爪水虫」のサインかもしれません。あまり知られていない爪水虫について解説します。
1月7日は「爪切りの日」
1月7日は「爪切りの日」です。新年を迎えてから初めて爪を切る日は「七草爪(ななくさづめ)」といわれ、春の七草を浸した水や、七草をゆでた汁に爪を漬け、柔らかくしてから切ると、1年間、病気にかからないとされています。
爪は、色・形に栄養不足や体調不良のサインが出やすいことから、「健康のバロメーター」とも呼ばれるパーツです。意識的にチェックすることで、病気の早期発見につながることも。普段、あまり気にされていない方も、ぜひこの機会に自分の爪をチェックしてみましょう。
「爪水虫」は痛みやかゆみを感じにくい
爪のトラブルの中で、あまり知られていないもののひとつに「爪水虫」があります。原因は、「足水虫」と同じ、「白癬菌(はくせんきん)」というカビの一種。足水虫は白癬菌が皮膚に寄生することで発症しますが、これを長年放置すると白癬菌が皮膚から爪の間に侵入し、爪水虫に。爪水虫は痛みやかゆみを感じにくいため、気づかずに症状を悪化させてしまうケースもあります。
爪水虫にかかった爪は、白色や黄色に濁ったり、厚くなってぼろぼろと欠けたりします。症状が進行すると、爪が変形したり、皮膚に食い込んで痛みが生じたりするため、靴下や靴が履きづらくなることも。
<代表的な爪水虫の症状>
日本で行われた水虫の罹患率を調査した研究(※1)では、皮膚科を受診した日本人の5人に1人が足水虫、10人に1人が爪水虫に罹っている可能性があるという結果が出ています。それくらい、身近な病気なのです。
爪水虫は家庭内感染しやすい
爪水虫は、白癬菌に感染した人が室内を素足で歩くことで白癬菌がばらまかれ、それがバスマット、スリッパ、絨毯、床などを介して人にうつり、発症します。すぐに皮膚に入り込むわけではありませんが、家族内に爪や足の水虫の人がいる場合は要注意。子どもから大人まで、年齢性別問わず感染するのが、水虫の怖いところ。家族が集まる機会が多いこの時期、自分の爪はもちろん、ぜひお互いの爪をチェックしてみてください。
爪をチェックしてみよう
こんな症状があったら、爪水虫かもしれません。
爪水虫の治療には時間がかかる
爪水虫の治療には、抗真菌薬が使用されます。市販の足用水虫薬では効果が期待できないため、感染した場合は医療機関で爪水虫用の外用薬や内服薬を処方してもらいましょう。薬の効果が現れると、爪の根元の部分からきれいな爪が少しずつ伸びてきます。爪水虫が完治するには感染部分が新しい爪に生え変わる必要があり、通常、1年から1年半ほどが目安です。
だからこそ、「何かおかしい」という初期段階で治療を始めることが大切です。
正しい爪切り、できていますか?
爪の異変に気づくためにも、適切なタイミングで爪切りをしましょう。爪には指先を衝撃から守る役割があり、指よりも短く切るとこの役割が十分に果たせません。また、切り方が悪いと、巻き爪や陥入爪(※2)(かんにゅうそう)を招く可能性も。ご紹介する正しい爪の切り方で、トラブルを防ぎましょう。
爪水虫は感染症です。大切な家族にうつさないためにも、「もしかしたら…」と思う方は、早めに医療機関を受診しましょう。
・1月7日は「爪切りの日」。この機会に、爪をチェックしましょう
・爪水虫は痛みやかゆみを感じにくいため、気づきにくいです
・日本人の10人に1人が爪水虫に感染しています
・爪水虫は家庭内感染しやすいです
・正しい爪の切り方を身につけましょう
監修
高山 かおる
埼玉県済生会川口総合病院皮膚科主任部長
日本フットケア・足病医学会理事。2015年、体の土台である足の問題を根本から解決するために「足育研究会」を立ち上げ、フットケアの重要性について日々啓発活動を行っている。
※1 Japan Foot Week研究会 渡辺晋一ほか:日 皮会誌111(14),2101-2112,2001 仲弥ほか:日本臨床皮膚科医会雑誌:26(1),27-36,2009
※2 爪の角や側面が皮膚に食い込んでしまう状態