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「まだまだ若いし、普通に歩けているから大丈夫」と思っていても、将来、寝たきりになる日がやってくるかもしれません。関節、骨、筋肉などの運動器の衰えは40代から始まります。早めに察知して、予防に努めましょう。
運動器の衰えは40代から
「ちょっと走っただけですぐ息切れする」「階段がつらくなってきた」「腰やひざが痛い」など、40歳を過ぎたあたりから、以前に比べて体力が落ちてきたと感じたり、身体の違和感を覚えたりすることが増えていませんか。
実は、骨や筋肉は40代に入った頃から衰え始め、50歳を過ぎると衰えるスピードが上がります。身体の違和感を「年のせいだから」と放置していると衰えが知らないうちに進行し、将来、自分の足で歩くことができなくなってしまうかもれません。
「ロコモ」になると日常生活が不自由になるかも
「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」とは、骨・関節・筋肉など運動器の障害によって「立つ」「歩く」といった移動するための機能が低下した状態のことを指します。
「立つ」「歩く」「作業する」など、私たちが自由に体を動かせるのは骨・関節・筋肉など運動器のおかげです。運動器のどれか1つでも障害が起こると、体をうまく動かすことができなくなってしまいます。
若いうちは1つの障害を治せば、また体を動かせるようになりますが、高年期になると1つの運動器の障害が次の障害につながったり、2つの障害が合わさって障害の程度が重くなることが起こります。それによって移動機能が低下した状態が、ロコモです。例えば、運動器の障害により、バランス機能が低下します。すると、転倒しやすくなり、骨が弱い場合は骨折につながるという具合です。
骨折すると日常生活の行動が制限され、筋肉量が減少し、これらが重なってロコモが進行します。骨折が完治しても、ロコモの影響で元通りに動くことは難しくなります。そうすると日々の活動量が減っていき、筋力はさらに衰え、介護が必要な状態になったり、寝たきりになったりすることがあります。
2019年の厚生労働省国民生活基礎調査の概要によると、要支援・要介護の原因の第1位は、「運動器の障害」(※1)でした。
40代から軽症のロコモに!?
ロコモ度テストを用いた住民調査から、ロコモと判定されるロコモ度1以上の人は4,590万人と推定されます(※2)。高齢者の問題と思われがちですが、実は40代から軽症のロコモになっている場合もあります。日ごろデスクワークが多く、日常生活でも不活発で、運動習慣もない人は特に要注意。気づかないうちにロコモになっている可能性があります。
ロコモの原因は、骨や関節の病気になること、運動器に痛みがあること、筋力やバランス能力などの運動機能が低下することです。高血圧など生活習慣病のある人は、比較的若いうちからロコモの原因となる病気にかかりやすいといわれています。
早足で歩く、一定の距離を続けて歩く、階段が楽に上れる、スポーツやダンス・踊りができるなど、今まで苦もなくできていたことに不自由を感じるようになったら、ロコモのサインかもしれません。
※2 日本整形外科学会,日本運動器科学会:ロコモティブシンドローム診療ガイド2021,文光堂,2021,p.20
「ロコモ度テスト」で自分の体力をチェック!
自分がロコモかどうかは「ロコモ度テスト」で簡単に判定することができます。すでにロコモである場合も、ロコモを進行させないことが重要です。
テストは次の3つです。
①「立ち上がりテスト」
片脚または両脚でどれくらいの高さの台から立ち上がれるかを測ります。40㎝の高さから片脚で立ち上がるのが難しい場合は、軽症のロコモです。
詳しいやり方はこちら
https://locomo-joa.jp/check/test/stand-up
②「2ステップテスト」
できるだけ大股で2歩歩いた距離を測り、自分の身長で割って2ステップ値を計算します。足腰の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価します。
詳しいやり方はこちら
https://locomo-joa.jp/check/test/two-step
③「ロコモ25」
運動器の不調に関する25の質問に答え、点数を合計します。
詳しいやり方はこちら
https://locomo-joa.jp/check/test/locomo25
これらのテストの結果により、ロコモでない状態、ロコモが始まっている「ロコモ度1」、ロコモが進行した「ロコモ度2」、ロコモがさらに進行して社会参加に支障をきたしている「ロコモ度3」を判定されます。
・ロコモとは立つ・歩くという移動機能が低下した状態のこと
・40代から運動器は衰え始める
・40~50代でも軽症のロコモになっていることも
・まずは「ロコモ度テスト」で自分の体の状態を知ることが大切
制作協力
大江 隆史先生
ロコモチャレンジ!推進協議会 委員長
日本整形外科学会整形外科専門医。ロコモティブシンドロームの専門家で、その研究・啓発活動に力を入れている。
ロコモチャレンジ!推進協議会HP
https://locomo-joa.jp/locomo
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