ラジオ日本連動コラム 第14回 健康キャラバン 齋藤千秋先生

第14回 一過性低血圧って何? | 齋藤千秋の健康キャラバン

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ふとした瞬間にめまいや立ちくらみになり、怖い思いをしたことはありませんか?

これは血圧が原因の場合が多くあります。血圧による健康障害として高血圧は有名ですが、実は低血圧になると脳への血流量が減りめまいや立ちくらみ、ふらつきが起こりやすくなるのです。自分は低血圧ではないと思っている方も多いと思いますが、血圧は一日の中でもめまぐるしく変化します。普段は正常な血圧の方でも一時的に血圧が下がり一過性の低血圧になることがあるのです。更にめまいや立ちくらみによって転倒してしまったり、失神してしまうという危険があるため一過性の低血圧への注意が大切になります。

低血圧になる要因として血管の弾力性が少なくなり硬くなること、自律神経の乱れ、心臓などの疾患、服用薬によるものなどがあげられます。加齢とともに血管の弾力性が低くなることで最高血圧が高く、最低血圧が低くなりやすくなります。筋力トレーニングや有酸素運動などで心臓から全身へ送る血液量を増やすことで血管の弾力性を高める効果が期待できます。更に全身の血液量が減ることで血圧も下がりやすくなってしまうので、こまめに水分補給をして脱水を防ぎ血液量を減らないようにするとこも大切です。特に糖尿病の方や高血圧の為の服用薬がある方は排尿の量や回数が増えやすく、体の中の水分が減りやすいので意識的に水分補給が必要になります。

一過性低血圧で多いと言われているのが起立性低血圧で、寝ている状態から起き上がったり、立ち上がった時など頭の位置が大きく変化したときに脳への血流量が減少してめまいや立ちくらみ、失神を起こしてしまう病気です。

他にも食後1~2時間に血圧が下がりやすい食後低血圧があり、主に自律神経の乱れによって交感神経の働きが弱くなり全身の血流のコントロールができていない状態になります。自律神経の乱れによる低血圧は食後だけでなく普段の生活の中でも起きることがあります。

一過性低血圧の対策として、血管の弾力性を維持・向上する、自律神経を整える、脱水を防ぐなどの他に弾性ストッキングの着用もあります。弾性ストッキングはむくみの解消、筋肉量の減少・ポンプ作用の低下をサポートして血流を良くする手助けをしてくれます。しかし、自分に合っていないものを着用している場合や、体の状態によっては着けてしまうと状態を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。血行障害がある、うっ血性心不全、糖尿病など他にも注意が必要になるので、不安がある方やかかりつけ医がいる方は医師に相談してから決めることがおすすめです。

運動不足や筋肉量の減少は脱水や血管の弾力性の低下、自律神経の乱れ、全身の血流の低下を引き起こしやすくなります。

今回は一過性低血圧の対策のために筋肉量の減少を防ぐトレーニングをご紹介します。

1.ツイストプルダウン
肩と背中の筋肉を大きく使い血流の改善、姿勢を良くして猫背の解消の効果が期待できます。肩や首の血流を良くし、正しい姿勢で胸郭を動かして呼吸することで自律神経を整える効果も期待できます。

ツイストプルダウン

背筋を伸ばして腕を頭の上まで持っていき、手は軽く拳をつくります。

ここから右ひじを正面へ、左ひじを真後ろへ持っていくようにひじを曲げながら体をひねっていきましょう。この時に後ろに下げた左ひじと同じ方の肩甲骨の内側の筋肉を使って縮めることを意識していきます。

そして最初の正面を向いて両手を上にあげた状態に戻し、反対も同様に行います。

  • 右ひねり、左ひねり合わせて1回として10回で1セットになり、2~3セットを目安に挑戦してみてください。
  • 腰痛がある方や腰に不安がある方は体をひねるときに注意しながら行いましょう。

2.ニーリフトランジ
下半身の大きな筋肉をストレッチし、さらに鍛えていくトレーニングです。ストレッチを入れてから使うことでより筋肉の動員を高めてくれます。下半身の筋肉は大きく筋肉量の向上に大きく貢献し、血管を柔らかくしてくれる効果が期待できます。片足立ちになる動きなので不安な方は壁などの固定されたものがある場所で挑戦してみてください。

ニーリフトランジ

立った状態から背筋を伸ばしたまま右足を持ち上げて右ひざを胸に抱えるように引き寄せ、お尻の筋肉を伸ばします。

抱えていた手を離して右足を前に一歩踏み出し、両ひざが直角になるまで腰を下に落としていきましょう。右ひざがつま先よりも前に出ないように、踏み出したら真下に体を下げることがポイントです。

体は背筋を伸ばしたまま右足全体で床けって最初の両足立ちに戻ります。反対も同様に行いましょう。

  • 左右交互に行い右5回、左5回の合わせて10回で1セットとして2セットを目安に挑戦してみてください。

普段の血圧に問題がない方でも一時的な低血圧の可能性はあります。今回ご紹介したトレーニングだけではなく、立ち上がるときは急に立たないでゆっくり立ち上がることや、手すりにつかまることで低血圧、転倒の予防につながります。特別なことではなく習慣にして生活の一部に入れていきましょう。そして、楽天シニアで「楽しいシニアライフ」を送りましょう。

制作協力

  • 齋藤千秋

    齋藤千秋

    NPO法人ファンズアスリートクラブ所属

    柔道整復師・健康運動指導士・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー・日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)

  • ラジオ日本「住まいのトラブルバスター」連動コラム

    ラジオ日本(AM1422kHz) 毎週日曜日8:10~住まいのトラブルバスターの中で放送されているレギュラーコーナー「齋藤千秋の健康キャラバン」を楽天シニア内で写真と共に解説します。

    今回のコラムは2021年2月放送分と連動したコラムです。

    ラジオでお話を聴いた方も、このコラムだけ読んでいる方も、健康になれる秘訣が、すぐに分かりますよ。

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