ラジオ日本連動コラム 第15回 健康キャラバン 齋藤千秋先生

第15回 フレイルにならないために | 齋藤千秋の健康キャラバン

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「フレイルでないですか?」と書かれたポスターなどを見かけたりしませんか?

フレイルとは加齢によって心身ともに老いて弱くなり活力が低下している状態です。しかし早く適切な対策をとることで健康に戻ることのできる状態でもある健康と要介護の中間に位置する状態です。

まずは体のチェックをしてみましょう。

  • 意図していないのに体重が4.5㎏または5%以上減った
  • 何をするのも面倒だと感じる日が週に3〜4日以上ある
  • 歩く速度が遅くなった
  • 握力が落ちた
  • 身体活動量が落ちた

1~2つあてはまった方はプレフレイル、3つ以上あてはまった方はフレイルになります。

フレイルになってしまうとストレスに対する耐性が弱くなったり身体能力が低下することで病気にかかりやすくなり風邪から肺炎を引きおこしたり、転倒して打撲や骨折をしやすくなります。

フレイルには身体的要素、精神的要素、社会的要素の3つの要素があり、この中の1つがきっかけとなり他の要素まで発展しフレイル、そして要介護を起こしてしまいます。具体的に身体的要因は加齢や疾患によって筋肉量が落ち、筋力低下が起こり、ものを持ったり歩くなどの生活の中の動きが困難になるサルコペニアやロコモティブシンドロームなどがあり、精神的要因は認知症やうつ、社会的要因としては閉じこもりや孤独、経済的困難などがあります。こういった要因を早い段階で対策をとることでフレイルを予防し健康でいられるのです。対策のポイントは運動と食事で筋肉量を維持、向上していくことや月に1回以上のボランティアや地域活動などへの社会参加によってストレス発散、スケジュール管理による認知症予防が大切になります。筋肉量を維持向上するための目安としては体重1kgあたり1gのタンパク質を毎日とることが必要になります。サルコペニアになると基礎代謝が低下し、1日の消費カロリーも減ってしまい、さらに食欲までなくなり低栄養になってしまうことがあります。食事は私たちが活動を行うためには必要不可欠ですが、加齢ともに口腔機能の低下で食事が困難になってしまうオーラルフレイルになってしまうこともあるのです。いつまでもたくさん食べてたくさん話せるように自分の歯を守り、口周りの筋力を衰えないようにしていきましょう。

今回は筋肉量の減少を防ぎ、疲れにくく、歩きやすい体を作るための運動を2つご紹介したいと思います。

1.スプリットスクワット
下半身の筋肉と体幹を使うトレーニングで筋肉量を増やしサルコペニアを予防します。全体の筋肉量が増えて疲れにくい体を作る効果も期待できます。

スプリットスクワット

足は腰幅にひろげ、前後に開いて後ろ足のかかとを持ち上げます。つま先とひざはまっすぐ正面を向けた状態でひざがつま先よりも前に出ないように真下に腰を落としていきましょう。腰を落とす際にひざが内側に入らないように注意しましょう。股関節、ひざ関節が直角になるまで下げるのが目標です。

  • バランスが不安定な運動になるので不安な方は壁や背もたれのあるイスに手を添えながら行ってみてください。
  • 反対も同様に行います。左右10回×2セットを目安に挑戦してみてください。

2.ドンキーキック
お尻の筋肉とももの裏の筋肉を中心に使っていくトレーニングです。お尻の筋肉は体の中でも特に大きい筋肉で強い力を発揮し、立つ歩く階段の昇り降りなど生活で重要な役割を担っているのです。そのためお尻の筋肉をトレーニングして上手に使えるようになることで、姿勢改善や歩き方改善や代謝を上げる効果が期待できます。

ドンキーキック

四つ這いになり、肩の真下に手首、股関節の真下にひざを置いてお腹に軽く力を入れて上に引き上げておきます。ひざが直角に曲がっている状態を保ったまま股関節から動かすように足を持ち上げていきましょう。ひざが外側にいかないようにまっすぐ後ろに引き上げて足の裏が天井に向くように行います。お尻の筋肉を使っていることを意識して上に持ち上げたら、四つ這いの姿勢に戻ります。

  • 骨盤が左右に大きく揺れたり、足を上げている方に開いてしまうとお尻の筋肉が上手く使えなくなってしまうので注意して行ってみてください。
  • 片方10回を1セットとして各2セットを目安に挑戦してみてください。

フレイルは要介護の一歩前の状態で、まだ引き返せる状態ではありますが、まずはフレイルにならない体と心を作ることが大切になります。今回紹介したトレーニングで、フレイルになりにくい体作りから一緒に行っていきましょう。そして、楽天シニアで「楽しいシニアライフ」を送りましょう。

制作協力

  • 齋藤千秋

    齋藤千秋

    NPO法人ファンズアスリートクラブ所属

    柔道整復師・健康運動指導士・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー・日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)

  • ラジオ日本「住まいのトラブルバスター」連動コラム

    ラジオ日本(AM1422kHz) 毎週日曜日8:10~住まいのトラブルバスターの中で放送されているレギュラーコーナー「齋藤千秋の健康キャラバン」を楽天シニア内で写真と共に解説します。

    今回のコラムは2021年3月放送分と連動したコラムです。

    ラジオでお話を聴いた方も、このコラムだけ読んでいる方も、健康になれる秘訣が、すぐに分かりますよ。

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