病気を防ぐ効果が証明された歩き方「1日8000歩、そのうち速歩きを20分」を応用した、メタボを防ぐ歩き方をご紹介します。
「1万歩・速歩き30分」でメタボが減
いま多くの自治体で取り入れられているウォーキング法が「1日8000歩、そのうち速歩きを20分」という歩き方です。
これは、群馬県の中之条町で、65歳以上の住民5000人を対象に、20年以上かけて行われた「中之条(なかのじょう)研究」でわかった、健康効果が認められている歩き方です。
歩数だけでなく、運動強度がポイントで、速歩きを取り入れることで、様々な病気を防ぐ効果が生まれます。
基本は「1日8000歩、そのうち速歩きを20分」ですが、メタボリックシンドロームの予防には、プラス2000歩と速歩きプラス10分が必要であることが、この研究でわかりました。
中之条研究では「1日1万歩・そのうち速歩きを30分」以上の人に、メタボはほとんどいなかったのです。この予防ラインを満たすことで、血圧や血糖値が下がり、メタボ状態が改善されることがわかりました。
なお、速歩きとは、歩きながら「なんとか会話できる程度」のペースが目安です。
まずは「1日8000歩、そのうち速歩きを20分」からスタート。2月かけて、さらに2000歩増やし、そのうち速歩きの時間を10分間延ばしましょう。
ただし、いまほとんど運動をしていない人は「8000歩・速歩き20分」も難しいかもしれません。その場合は「4000歩・速歩き5分」から始めて「6000歩・速歩き10分」→「8000歩・速歩き20分」→「1万歩・速歩き30分」と増やしていきましょう。
そしてメタボが改善されるまで「1万歩・速歩き30分」を続けてください。メタボから脱出したら「8000歩・速歩き20分」にしてOKです。
こうして歩く習慣を身に着けることで、短い距離でも車を使うといった生活も変化し、環境にも良い影響を与えることができます。
「1日1万歩・そのうち速歩きを30分」の歩き方で、メタボも地球環境の悪化も遠ざけていきましょう。
監修
青栁幸利先生
東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室長
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
・『図解でわかる! やってはいけないウォーキング』(SBクリエイティブ)
・「健康長寿を実現する至適身体活動パターンの解明:加速度計を用いた10年間の縦断研究」/地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
・「Aoyagi & Shephard (2021)_Encyclopedia of Quality of Life and Well-Being Research」