ちょっとした段差でよくつまずく人は、歩くときにすり足になっているのかもしれません。そこで、足先をしっかり上げて歩けるようになるためのトレーニングを紹介しましょう。
筋肉の衰えでつまずきやすくなる
足先を上げるために働くのは、前すねの筋肉「前脛骨筋(ぜんけいこっきん)」です。
「弁慶の泣き所」と呼ばれる部位のやや外側にあります。
この筋肉が弱って足先が上がらなくなると、歩くときにすり足になりがちです。すると、ちょっとした段差があるところや、何もないとことでもつまずきやすくなり、転倒するリスクも高まります。
そこでおすすめしたいのが、前すねの筋肉を鍛えてすり足を防ぐ3種のトレーニングです。
●「座って足先上げ」トレーニング
1)イスに座り、手で座面をつかんで体を安定させる
2)かかとを床に着けたまま、左右の足先を同時に上げる
3)1〜2を20回×2セット行う
〈ここがポイント!〉
・前すねのやや外側部分を自分で触りながら足先を上げ下げしてみると、前脛骨筋の収縮が確認できてトレーニング効果もアップします。
●「立って足先上げ」トレーニング
「座って足先上げ」よりも、負荷の低いトレーニングです。「座って足上げ」をするのが難しい方は、こちらを行ってください。
1)直立した姿勢で、手すりやドアの縁などをつかむ
2)お尻を後ろに突き出しながら、左右の足先を同時に上げる
3)1〜2を20回×2セット行う
〈ここがポイント!〉
・足先を見ながら行いましょう。
・後ろへ転倒しないように、手すりやドアの縁などをつかめる環境で行いましょう。
・転倒の不安がある人は、後ろに介助者についてもらうと安心です。
●「踏み台昇降」トレーニング
踏み台の高さは20cm程度がおすすめです。踏み台がない場合は、階段で行ってもOKです。
1)踏み台や階段に、右足から昇って右足から降りる
2)左足から昇って左足から降りる
3)1~2を10回×2セット行う(「昇って降りる」の動作を1回と数える)
〈ここがポイント!〉
・台に乗るときは、足先を思い切り上げるように意識します。
・昇り降りは一定のリズムを意識しながら、無理のない速さで行いましょう。
・昇降中に体のバランスが崩れやすい人は、手すりなどをつかみながら行ってください。ただし、軽く体を支える程度にして。腕の力で体を引き上げてしまうと、筋肉への効果が得られにくくなります。
転倒防止の不安が少なくなると、自分の足で歩いて外出する機会も増えてきます。移動の際も車に頼りすぎなくなるため、ガソリンや軽油の使用削減にもなりエコにつながります。
前すねの筋肉を鍛えてすり足を防ぐトレーニングを、いまから実行しましょう。
監修
西野英行先生
理学療法士
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』(翔泳社)