ひざ痛で、歩くのに困っていませんか。ひざ痛の改善のために行ってほしいのが、専門医が教える「黒澤式ひざ体操」です。
痛みなくおだやかにできて簡単!
ひざ痛で病院に行くと、内服薬や関節注射などの対症療法を受けますが、根本的な完治に至りにくいのが現状です。
そこで紹介したいのが「黒澤式ひざ体操」です。
ひざが痛いときは安静にしているのがいいと考えがちですが、おだやかに動かす体操により、痛みがとれることがわかってきました。その効果も確かめられています※1。
ひざが痛い方でも痛みなくでき、やりかたも簡単です。
毎日行うことで、ひざの炎症を抑え、関節を強くして痛みがやわらぎ、歩きやすさを取り戻せるように。再発の予防にも役立ちます。
効果のある筋肉の違う2つの体操と、痛みが強い場合の体操をご紹介します。
●脚上げ体操
「大腿四頭筋(ももの前面の筋肉)」、「腸腰筋」、「腹筋」に効果があります。
1)イスに浅めに腰かけ、少し前かがみの姿勢になる。イスの両端を手でつかむ
2)ひざを伸ばしたまま片脚を上げ、かかとが床から10cm程度のところで5秒間静止する。このとき、上げない脚のひざは直角に曲げおく
3)上げた脚をゆっくりと床に下ろし、2〜3秒休む
4)2〜3を片脚20回ずつ、両脚行うのが1セット。朝、晩で各1セット行う
※10回ずつで脚を交代して、2回行ってもよい
●横上げ体操
「外側広筋(太ももの側面の筋肉)」、「中殿筋(腰の横の筋肉)」に効果があります。
1)横向きに寝て、下側の脚のひざを直角に曲げて、少し前に出す。上側の脚は伸ばしておく。手は置きやすい位置に
2)上側の脚を、ひざを伸ばしたまま床から10cmほどの高さに上げて5秒間静止する
3)上げた脚をゆっくりと下ろす
4)2〜3の動きを片脚20回ずつ、両脚行うのが1セット。朝、晩で各1セット行う
ひざの痛みが強くて、脚上げ体操や横上げ体操が難しい方は、以下のくつ下体操がおすすめです。すべりのよい木綿やウールのくつ下をはいて、フローリングの床で行ってください。
●くつ下体操
1)イスに浅めに腰かけ、少し前かがみの姿勢になる。イスの両端を手でつかむ
2)足底は床につけた状態をキープして、片方の脚をゆっくりと前後に20cmほどスライドさせる。4〜5秒間で1往復くらいのペースで
3)2の動作を片脚20往復ずつ、両脚交互に3回繰り返すのが1セット。朝、晩もしくは朝、昼、晩で各1セット行う
なお、脚を動かすのに不安のある方は、医師と相談してください。
ひざ痛がやわらげば、長く歩けるようになり「歩く楽しみ」も得られます。移動するときに車に依存しなくなることで、排気ガスに含まれるCO2排出量の削減にも。環境にやさしい生活をするためにも、黒澤式ひざ体操をぜひ実行してみてください。
監修
黒澤尚先生
江東病院理事長、順天堂大学医学部名誉教授
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
『図解 専門医が教える!ひざ痛の最新治療と予防法』(日東書院本社)
※1 黒澤尚「変形性膝関節症と運動療法 その効果と生物学的意義」順天堂醫事雑誌,59.163-70.2013