疲れを感じた時、リフレッシュして体を元気にする方法は色々ありますが「歌」もその一つ。歌うことが、脳からストレスを取り去って活力を与えてくれるというのです。
合唱もひとりカラオケも◎
そもそも「歌を歌う」という行為には2つの側面があります。
1つには人前で歌って聴衆に感動を与える「エンターテインメント」としての側面。
もう1つは、歌うことにより自分の心身を元気にする「セルフケア」としての側面です。
リズム運動をすると、人間の脳には「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が促されることが知られています。
歌唱は「呼吸のリズム運動」なので、ウォーキングなどと同様に、セロトニン神経を活性化させる効果が期待できるのです。
また、みんなで合唱すると、他者との絆を体感することによる「グルーミング効果」でストレス中枢が沈静化され、「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌にもつながるとされます。
たとえば欧米の教会ではみんなで賛美歌を歌います。これも脳科学的にはセロトニンおよびオキシトシンの分泌を促す効果があると考えられます。
また、野球やサッカーの観戦・応援では観衆が太陽の下で応援歌を歌い続けたりします。
これもセロトニン神経を活性化させる「太陽の光」と「呼吸のリズム運動」という要素が揃っているので、ストレス発散に有効でしょう。
カラオケも元気になるにはもってこいです。親しい人たちとグループでカラオケに行って盛り上がれば、グルーミング行為としてのオキシトシンの分泌アップが期待できます。
一方、セロトニンをアップさせるという側面では、ひとりカラオケがおすすめです。セロトニンは何かに集中しているときに、より活性化する性質があります。
他の人に気を使う必要もなく、自分の好きな曲を、ひたすら自分のペースで集中して歌うことで、セロトニンの分泌がさらに促されるわけです。
歌を生活に取り入れて、脳を元気にしていきましょう。すると自然に体も動かしたくなり、ふだん歩く距離や時間も伸びるはず。車や交通機関に頼らず歩くことで、二酸化炭素量の軽減にも役立ちます。
監修
有田秀穂先生
医師・脳生理学者
制作協力
からだにいいこと
創刊20周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。
【出典・参考文献】
『医者が教える疲れない人の脳』(三笠書房)