今回は「ちょきん」のお話です。
「ちょきん」と言ってもお金を貯める「貯金」ではなくて、筋肉を貯める「貯筋」です。
何故「貯筋」が必要なのでしょうか?
私たちの筋肉は10~20代をピークに何もしていないと30代から落ちやすくなり、年間に2%ずつ落ちていくと言われています。更に落ちていく筋肉をそのままにしておくと80代になった時に30代の時の半分の筋力になってしまうのです。要支援・要介護になる方の4割が筋肉に原因があり特に落ちやすいのが下半身の太ももの筋力なのですが、下半身の筋力は私たちが歩く、階段を登る、降りるなどの活動で必要になります。65歳になると3~4割の方が転倒し、その中の5~10%で骨折が起きてしまいます。それが原因で寝たきりになり、ますます筋力が落ちてしまうという負の連鎖も多くみられるのです。日本人の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳ですが平均「健康寿命」は70代で約10年もの差があるのです。
「健康寿命」とは医療や介護に依存せずに自立した生活が行える寿命です。つまり平均寿命と平均健康寿命の間の約10年が医療や介護に頼ったり、寝たきりになってしまう状態なのです。更に入院で2週間筋肉を使わないと約7年分もの筋肉が減少してしまいます。寝たきりを防いだり、この負の連鎖を引き起こさないためにも貯筋運動で筋力を貯筋していつまでも動き続けられる体をつくっていきましょう。
貯筋運動は健康・体力づくり事業財団が推奨する道具の必要ない毎日できる運動で、健康運動指導士や健康運動実践指導者などを中心に総合型地域スポーツクラブや介護施設などで広がっています。立った状態で行うものとイスに座った状態で行うものがある、歌に合わせてリズミカルに体を動かす運動で3カ月継続して行うと約7%の筋力アップが期待できます。毎日継続して行うことが大切なので、無理せずご自分の状態にあったスタイルを選んで挑戦してみてください。
今回は貯筋運動の中から3種類の運動を紹介するので一緒にやってみましょう。
貯筋運動は正しい姿勢と呼吸が大切です。背筋を伸ばし軽く腹筋に力を入れて正しい姿勢で行い、呼吸は止めずにゆっくりと息を吸って吐いてを繰り返して行いましょう。
1. もも上げ(座位)
足の付け根の筋肉を鍛える運動です。
イスに浅く腰掛けて足を腰幅に開き、両手はイスのふちに添えて目線は前に向け背筋を伸ばします。ひざを胸に近づけるように足の付け根から持ち上げましょう。足を持ち上げたときに上半身が前に倒れないようにお腹に力を入れて背筋を伸ばしたまま行うのがポイントです。
- 足を持ち上げたら上で少し止めて1秒キープするように挑戦してみましょう。
- 足を持ち上げたときにひざが外側にいかないように注意して下さい。
- 足を交互に入れ替えて20回を1セットとして3セットを目標に挑戦してみましょう。
2. イス座り立ち(立位)
ももの前を鍛える運動です。
イスに浅く腰掛け足を腰幅に開きつま先とひざを同じ向きにして、目線を前に向け背筋を伸ばします。両手はイスかテーブルなどを目の前に準備してそこに軽く添えましょう。少し頭を前に出してからゆっくりとひざを伸ばして立ち上がりましょう。
- 座るときはお尻を後ろに突き出すようにして座ります。
- 背中が丸まらないようにお腹に力を入れて姿勢を保ったまま行いましょう。
- 10回を1セットとして3セットを目標に挑戦してみましょう。
3. 足の横上げ(立位)
お尻の横を鍛える運動です。
足は腰幅に開きイスの後ろ側に立ち両手をイスの背もたれに添えて、お腹に力を入れ背筋を伸ばして肩の力を抜いてよい姿勢を作りましょう。体が横に倒れないようにお腹とお尻の横の部分に力を入れて片足を横にゆっくりと持ち上げます。
- ひざが外や上に向かないように正面に向けて行いましょう。
- 高く持ち上げる必要はないのでお尻の横の筋肉を使っていることを意識して行っていきましょう。
- 反対側も同様に行います。
- 10回を1セットとして2セットを目標に挑戦してみてください。
使うとなくなるのがお金の貯金、使って貯めるのが筋肉貯筋です。これからの為にたくさん使ってたくさんの筋肉貯筋をして、いつまでも健康で自由に歩き続けることができる体を一緒に作っていきましょう。そして、楽天シニアで「楽しいシニアライフ」を送りましょう。
制作協力
齋藤千秋
NPO法人ファンズアスリートクラブ所属
柔道整復師・健康運動指導士・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー・日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)
ラジオ日本「住まいのトラブルバスター」連動コラム
ラジオ日本(AM1422kHz) 毎週日曜日8:10~住まいのトラブルバスターの中で放送されているレギュラーコーナー「齋藤千秋の健康キャラバン」を楽天シニア内で写真と共に解説します。
今回のコラムは2020年12月放送分と連動したコラムです。
ラジオでお話を聴いた方も、このコラムだけ読んでいる方も、健康になれる秘訣が、すぐに分かりますよ。