人生100年時代といわれる中で、元気に長生きできるように「健康寿命」を延ばすことが意識され、そして好きなことができるように「資産寿命」も延ばす必要があるといわれています。
とはいえ、資産運用で失敗しては元も子もありません。このシリーズでは、本当にあったシニア世代の失敗事例を取り上げ、やってはいけなかった行動と、解決の手段を紹介します。
2020年もあと一ヶ月で終わりを迎えようとしています。年が明けると確定申告の準備をする時期になりますが、税金の還付や医療費控除を目的に申告する人も多いでしょう。確定申告はうまく利用すれば、収入に対して使える手取り金額を増やすことができます。
確定申告をうまく利用するためには、年内に準備や対策をとっておくべきこともありますので、12月はその下準備をするための重要な月と言えるでしょう。
ただし、申告することで一方ではメリットを受けながらも実は他方でデメリットが発生している場合もあります。もしくは申告する必要のない所得を申告してしまうことによって、逆に負担が増えてしまうケースもあります。
そこで今回は、シニア世代の方がどんな時に確定申告をするべきなのか、どんな注意点があるのか、その代表的な事例をお伝えします。
シニア世代が確定申告をする時とは?
シニア世代となると多くの人が年金を受給するようになり、会社勤めや専業主婦の方でこれまで確定申告に縁がなかった人が確定申告を行うこともあるでしょう。そこで、まずはシニア世代が想定しておくべき確定申告が必要なケースを下記にまとめました。
- 公的年金を含む収入金額の合計が400万円を超える場合
- 公的年金を含む雑所得以外の所得が20万円を超える場合
- 10万円以上の医療費を支払った分の還付を受ける場合
- 社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除等を受ける場合
- ふるさと納税や寄附金控除を受ける場合
- 災害や盗難にあった場合
- 証券投資(株式や債券、投資信託)の損益通算や損金繰り越しをしたい場合
「確定申告不要制度」の対象者(上記1と2の条件を満たさない人)は申告の必要はありませんが、収入が一定以上ある人や特定の控除や還付、損失の補填や繰り越しを受けたい人などが確定申告をすることになります。
確定申告の活用方法は一人ひとりの状況によって多岐に渡りますので、今回は資産運用でも重要なケース7の場合の注意点をお伝えします。
株式や債券、投資信託といった証券投資では、利益に対して20.315%の税金がかかります。売買での利益なら譲渡所得、株式の配当なら配当所得、債券の利息なら利子所得のように分かれていますが、ほとんどの場合は源泉分離課税なので他の所得とは別計算です。
利益だけなら税金を払って終わりですが、時には損失が出ることもあります。その場合には、利益と損益通算したり、翌年以降(最長3年間)に繰り越したりすることが可能です。特定口座での取引で、同年同一金融機関の売買なら確定申告をする必要はありません。
ただし、他の金融機関での取引や、繰り越しをしていた損失から損益通算したい場合には確定申告が必要になります。
しかし、確定申告をすることで逆にお金の支払いが増える場合があるので、しっかりメリットとデメリットを理解して「自分にとって」どうするべきなのかを知らなければ損をしてしまいます。
確定申告をすることで負担が増えるケースは?
証券投資のために確定申告をすると何の負担が増えるのでしょうか?
それは売却した金額が収入とみなされることで、以下の表のように各種控除からはずれたり、保険料の支払額が増えたり、医療費などの自己負担額が増える可能性があります。これはシニア世代の人にとっては大きな支払い負担増に繋がりかねません。
(※2020年11月10日時点)
確定申告は、必要な申告を手続きするだけの制度ではなく、場合によっては申告してもしなくても良い制度です。そのような場合には、申告して得るメリットと、しないことによるメリットを比較して検討していきましょう。
これからの資産運用のコツ
メリットの大きい医療費の窓口負担や介護保険の自己負担割合を少ないままにして、シニア世代が資産運用していくにはどうしたらいいのか?それはできるだけ資産運用をする金融機関を一つにしぼり、同年度内に損益通算をすませることです。
もちろん損失額が大きければ、繰り越しをする必要がでてくるかもしれませんが、そもそもシニア世代の人は大きな損失がでるような資産運用をするべきではないでしょう。
資産運用は、単に運用で資産を増やすことだけではなくもっと広い目線で考えることで、より大きなメリットを受けることができます。
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